高校卒業後3年間は大学浪人という身分で様々なアルバイトを経験し、今で言う「自分探し」をしていましたね(笑)

それから何となくロックバンドに参加する事になり、途中上京して職業バンドマンを10年続けましたが大きな成功は出来ませんでした。 今思うと、普通の努力しかしなかったので普通で終わってしまったという感じです。32歳でバンドマンから足を洗い、33歳からはとりあえずの仕事として写植オペレーターをやりながら、普通の社会人としてどう身を立てようかと模索しました。

そして友人の勧めもあり、独学でプログラミングを始め情報処理二種(現在の基本情報技術者)も合格したうえで、未経験で独立系ソフトウェアハウスに就職したのは、あと数ヶ月で35歳になろうかという頃でした。

それは、当時「プログラマー35歳定年説」が言われているなかでのチャレンジでありました。

35歳で本格的にこの業界に飛び込んでから最初に考えたのは、「自分には後がない、時間がない」ということ。
普通の努力では普通にしかならない、人の倍は努力をして、倍のスピードでキャリアアップしなければならないと考えました。

そこで立てた目標が「プログラマーからスタートし、10年後には最上流のシステムコンサルタントまでキャリアアップ」。私の仕事人生におけるラストチャンスとなる”勝負の10年”に賭けました。
一切の娯楽や人付き合いを絶ち、仕事以外では自宅で勉強する毎日。同僚には「付き合いが悪く、取っつきにくいやつ」と思われていたでしょうね(笑)。
でもその甲斐あって、情報処理試験は業界経験0.5年で一種(現在の応用情報技術者)、3.5年で特種(現在のプロジェクトマネージャ+システムアーキテクト)、7.5年でシステム監査(当時新設されて2年目)というハイスピードで合格しました。
実務においても、UNIXカーネルプログラマーからスタートし経験3.5ヶ月で開発リーダーになり、経験4年半で業務アプリの上流設計(要件定義・外部設計)を担当、経験7.5年で企画分析のシステムコンサルティング、経験8年で大規模業務システムSIのプロジェクトマネージャを任されました。
常に「上の仕事がやりたい」とチャレンジしていたので、どうしても上の仕事ができる会社への転職を繰り返さざるを得ないというキャリアでした。

そしてついに10年が経過した頃、提案・コンサルティング担当の部長に就任。目標としていたキャリアアップを果たす事が出来ました。
こうして私の“プログラマーから最上流システムコンサルタントを目指した10年”はゴールを迎えるわけですが、何か物足りない。
その頃にはもう「さらに上」を目指していたんですね。

経験12年を迎え、提案コンサル、業務コンサル、ITコンサル、システム監査コンサルなど、オールマイティなシステムコンサルタントとして様々な実績を積むことができました。
転機となったのは、超大手製造業S社への直契約コンサルティング案件を手掛けた時。
そこでは、大規模基幹業務システム再構築プロジェクトのシステムテスト工程において、全体夜間バッチ処理が14時間もかかり夜間処理時間内で終わらないという重大な性能問題が発生して、参加ベンダー(インフラベンダー、DBベンダー、開発ベンダー、S社技術支援など)が全てギブアップ状態となっており、まさにプロジェクト破綻の危機に直面していました。

たまたまその頃S社に提案していた私に白羽の矢が立ち、問題解決のためのシステムコンサルティングを任されたのです。
その当時の私の会社は社員数70名程のベンチャーSI企業なので、私1人でやるしかありませんでした。
いきなり問題解決会議に飛び込み参加ベンダー代表達を取り仕切ったり、技術的な解決策を提示したりと、マネジメント力と技術力の両方が要求されるミッションクリティカルな業務でしたが、2ヶ月半の作業で全体夜間バッチ処理を4時間以下に収めて無事問題解決に成功しました。
カットオーバー成功祝いのプロジェクト打ち上げパーティでは、その貢献に対して当時のS社専務様から私へ直々に感謝状を授与いただきました。

そのほかにも、3年間継続した共済保険組合へのシステム監査コンサルティング実績や、ユーザ系SIerとの人脈構築など、自分自身のチャネルを築くことができたという確かな手応えを得ることができ、「私個人の信頼チャネルでダイレクトに案件が取れる、起業のチャンスだ」と考え、起業を決意。
実際に起業してまもなく、そのチャネル全てと取引することに成功し、今に至っています。
ちなみに、アイティーソリューションズの設立は、私がこの業界に入って14年での達成でした。

アイティーソリューションズ設立において、どういう会社にしようかと考えるにあたり、私自身のこのキャリアが発想の原点になっています。
「プロフェッショナル志向」「ソリューション志向」「上流志向」「プライム志向」「SE中心主義経営」
これらは企業理念・ポリシーであるとともに、SEが成功するための戦略でもあるのです。
特に「SE中心主義経営」については、SEが成長し成功できる環境を作りたいという思いで工夫と努力を積み重ね、現在では「仕事のやりがい」「無理のない労働時間と高水準の年収が両立」「公正で明確な人事給与評価基準」という環境が実現しています。
私のSEキャリアの如く、キャリアアップの為に転職を繰り返さなくても、ひとつの会社でプログラマーから最上流システムコンサルタントまで成長する事ができる、そんなSEにとって理想の環境を作る、それがアイティーソリューションズの「SE中心主義経営」なのです。

                                         アイティーソリューションズ株式会社 代表取締役社長 高山明直
 <2009年3月 取材><2013年11月 加筆修正>